役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

定年の手続き、締切はいつまで? 退職日から逆算した一覧表(再雇用で残る人・辞める人)

定年の手続き、締切は退職日から数える。20日・2か月。再雇用で残る人と辞める人の締切を一覧にしました

私は2027年2月に60歳で定年を迎えます。定年のあとは、同じ会社に再雇用で残ることが決まっています。

定年前後の手続きを調べ始めて、困ったことがあります。手続きの説明は、健康保険・失業保険・年金と、1つずつ別々のページにあります。ところが「退職日から数えて、いつまでに何をするのか」を、日付の順に並べたものが見つかりませんでした。

しかも、締切を過ぎると後から取り返せないものがあります。健康保険の任意継続は20日以内、定年で辞めたときの失業保険の延長は2か月以内です。

そこで、国の資料と法令を開いて、締切だけを1枚の表にしました。

この表の使い方:起点は退職日。残る人と辞める人で、やる手続きが違う

  • 起点は「退職日」です。表の「いつまで」は、退職日(または退職日の翌日)から数えます
  • 再雇用で残る人と、辞める人では、やる手続きが違います。残る人は、退職金と年金・給付の手続きが中心です。辞める人は、それに健康保険と失業保険が加わります
  • 先に再雇用で残る人の締切、次に辞める人の締切、最後に日付順の一覧表を置きます。一覧表だけ見たい人は、下の「日付順の一覧表」へ進んでください

再雇用で残る人の締切

退職金を受け取る前に:「退職所得の受給に関する申告書」

再雇用で残る人も、定年で一度退職金を受け取る会社があります。そのときに出すのが「退職所得の受給に関する申告書」です。

国税庁の「No.1420 退職金を受け取ったとき(退職所得)」によると、

  • この申告書を出している人は、会社が税額を計算して源泉徴収するので、原則として確定申告は必要ありません(医療費控除などで確定申告をする場合は、退職所得の金額も書く必要があります)
  • 出していない人は、退職金の支払金額の20.42%が源泉徴収され、本人が確定申告をして精算します

国税庁のページには「何日までに」という期限の書き方はありません。源泉徴収は退職金を支払うときに行われるので、受け取る前に会社へ出しておく、と覚えておけば十分です。

最初にもらう月の初日から4か月以内:高年齢雇用継続給付の初回申請

再雇用で賃金が下がった人が受け取れるのが高年齢雇用継続給付です。ハローワークの「雇用継続給付」のページによると、

  • 60歳以上65歳未満の各月の賃金が、60歳時点の賃金の64%以下に下がった場合、各月の賃金の10%相当額が支給されます(64%超75%未満なら、下がり方に応じて10%未満の額)
  • 初回の申請は、最初に支給を受けようとする月の初日から4か月以内
  • 申請するのは原則として会社(事業主)です。本人が自分で申請したい場合は、本人もできます

「15%」と覚えている人は、「高年齢雇用継続給付は15%」はもう古いを先に読んでください。60歳になった時期で率が違います。

会社が出してくれる手続きでも、締切があることは知っておく。初回の4か月を会社任せにしたまま、気づかずに過ぎるのがいちばん怖いと思いました。

受け取り開始の3か月前:年金請求書が届く

日本年金機構の「電子申請かんたんガイド(老齢年金請求書)」によると、

  • 年金を受け取り始める年齢になる3か月前に、日本年金機構から年金請求書が送られてきます
  • 請求の手続きができるのは、誕生日の前日以降です

60歳〜65歳の間:繰上げは「取り消せない」

日本年金機構の「年金の繰上げ受給」によると、年金は原則65歳からですが、希望すれば60歳から65歳になるまでの間に繰り上げて受け取れます。

  • 繰り上げた月数に応じて減額されます。昭和37年4月2日以降生まれの人は1か月あたり0.4%(最大24%)
  • 減額率は一生変わりません
  • 繰上げを請求した後は、取り消すことができません

ここには日付の締切はありません。ただ、一度出したら戻せないという意味で、いちばん重い手続きだと思います。

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再雇用の期限が来て辞めるときも、失業保険の延長(下の「辞める人の締切②」)が使えます。

辞める人の締切①:健康保険は「20日」と「14日」

会社を辞めると、会社の健康保険から抜けます。協会けんぽの「退職後の健康保険」によると、選べるのは次の3つです。

選ぶもの いつまで どこへ
健康保険の任意継続 退職日の翌日から20日以内(協会けんぽの場合、20日目が土日・祝日なら翌営業日) 協会けんぽの人は住んでいる都道府県の支部。健康保険組合の人はその組合
国民健康保険 被保険者になったときから14日以内 住んでいる市町村の国民健康保険の窓口
家族の健康保険の扶養に入る 協会けんぽのページに期限の記載はなし 家族の勤め先
  • 任意継続で入れるのは2年間です(健康保険法 第38条)
  • 任意継続の20日は、法律にも書かれています(健康保険法 第37条:資格を失った日から20日以内)
  • 国民健康保険の14日は、厚生労働省の「国民健康保険の加入・脱退について」に書かれています

保険料は、人によって違います。健康保険組合の人は、任意継続の保険料を組合の案内で確かめてください。どれが得かの考え方は、退職後の健康保険は任意継続と国民健康保険のどっちが得かにまとめました。

辞める人の締切②:失業保険は「1年」と、定年なら「2か月以内」の延長

受け取れるのは、離職の翌日から原則1年

ハローワークの「基本手当について」によると、失業保険(基本手当)を受け取れる期間は、離職した日の翌日から原則1年間です。この期間を過ぎると、給付日数が残っていても受け取れません。

なお、65歳以上で辞めた場合は、基本手当ではなく高年齢求職者給付金(基本手当日額の30日分または50日分)になります。

定年で辞めて、しばらく休むなら「2か月以内」に延長の申し出

定年で辞めて、すぐには仕事を探さない人もいると思います。その場合に使えるのが、受給期間の延長です。

雇用保険法と雇用保険法施行規則の条文を読むと、

  • 60歳以上の定年で辞めた人が、しばらく求職の申し込みをしないことを希望する場合、受け取れる期間を延ばせます。延ばせるのは1年が限度です(雇用保険法 第20条第2項)
  • 再雇用で残った人が、その期限が来て辞めた場合も対象です(雇用保険法施行規則 第31条の2)
  • 申し出は、離職の日の翌日から2か月以内に、受給期間延長等申請書に離職票を添えて、住所を受け持つハローワークへ出します(同 第31条の3)

2か月を過ぎると、この延長は申し出られません。定年で辞めて「少し休んでから考えよう」と思っている人ほど、ここを先に押さえておく必要があります。

日付順の一覧表(ここだけ見ればいい表)

いつまで 何をするか どこへ 再雇用で残る人 辞める人
退職金を受け取る前 退職所得の受給に関する申告書を出す(出さないと20.42%が源泉徴収) 退職金を払う会社 ○ ○
国民健康保険に入るときから14日以内 国民健康保険に入る 市町村の窓口 — 選んだ人
退職日の翌日から20日以内 任意継続を申し出る(入れるのは2年間) 協会けんぽの支部/健康保険組合 — 選んだ人
離職の日の翌日から2か月以内 失業保険の受給期間の延長を申し出る(最大1年) ハローワーク 再雇用の期限で辞めるとき 定年で辞めて、しばらく求職しない人
離職の日の翌日から原則1年 失業保険(基本手当)を受け取れる期間 ハローワーク 再雇用の期限で辞めるとき ○
最初にもらう月の初日から4か月以内 高年齢雇用継続給付の初回申請(原則は会社) ハローワーク(原則は会社が出す) ○ —
年金を受け取り始める年齢の3か月前 年金請求書が届く 日本年金機構から ○ ○
誕生日の前日以降 年金を請求できる 日本年金機構 ○ ○
60歳〜65歳の間(締切なし) 繰上げを選べる。取り消せない 日本年金機構 ○ ○

この表に入れていないもの

次のものは、国の資料でまだ確かめていないので、この表には入れていません。

  • 住民税(辞めた時期で払い方が変わると言われるもの)
  • 年の途中で辞めた人の確定申告(納めすぎた所得税を取り戻す手続き)
  • 国民年金(60歳以降に入る必要があるか)
  • iDeCo・企業年金の受け取り方
  • 離職票が届く時期・ハローワークで求職を申し込む時期

確かめたら、表に足します。

わたしの立場と、次にやること

私は2027年2月に定年を迎え、再雇用で残ることが決まっています。なので、私が見るのは表の「再雇用で残る人」の列です。

  • 退職金を受け取る前に、申告書を出す(会社の案内を待たずに、出すものだと知っておく)
  • 高年齢雇用継続給付の初回4か月を、会社に確かめる(申請は原則会社。いつ出してもらえるかを聞いておく)
  • 繰上げは、出す前に一度立ち止まる(取り消せないため)

再雇用にも期限があります。その期限が来て辞めるときには、表の「辞める人」の列も私の話になります。そのときのために、健康保険の20日と、失業保険の延長の2か月は、今から覚えておきます。

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まとめ

  • 定年前後の手続きは、退職日から数える締切で並べると見落としが減る
  • 退職金は、受け取る前に「退職所得の受給に関する申告書」。出さないと20.42%が源泉徴収
  • 高年齢雇用継続給付の初回申請は最初の支給対象月の初日から4か月以内、原則会社が申請
  • 年金請求書は受け取り開始の3か月前に届き、請求は誕生日の前日以降
  • 繰上げは1か月0.4%(最大24%)減で、取り消せない(昭和37年4月2日以降生まれ)
  • 辞める人の健康保険は、任意継続が退職日の翌日から20日以内、国民健康保険が14日以内
  • 失業保険は離職の翌日から原則1年。60歳以上の定年や再雇用の期限で辞めた人は、2か月以内の申し出で最大1年延ばせる

この記事で使った資料

決まりと数字は、すべてこの10の資料から引きました。個人の解説記事・動画・ニュースは、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。