役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

定年後の再雇用、5年を超えたら無期転換できる? 会社が「特例の認定」を受けていれば対象外。契約書のどこを見れば分かるかを国の資料で確かめました

再雇用が通算5年を超えたら無期転換。会社が特例の認定を受けていれば対象外。契約書で分かる

私は2027年2月に60歳で定年を迎え、同じ会社に再雇用で残ることが決まっています。

再雇用の契約は1年ごとの更新です。そして会社の資料を見ると、70歳まで残る道もあります。そこで気になったのが、1年契約を何度も更新して5年を超えたら、何が起きるのかです。

「5年を超えたら無期転換」という言葉は聞いたことがありました。でも、それが定年後の再雇用にも当てはまるのかは、知りませんでした。この記事は、それを国の資料で確かめた記録です。

わたしの会社の再雇用は「1年更新」で、70歳までの道がある

会社の定年資料には、再雇用(嘱託)の期間は60〜70歳で、1年更新と書かれています。

65歳までの更新がどう扱われるかは、前に再雇用の1年契約、次の更新で切られる? 国の資料の答えは「65歳までは原則更新」でしたにまとめました。70歳までは会社の「努力義務」だという話も、そちらに書いています。

この記事は、その先の話です。1年契約を更新し続けて、通算で5年を超えたあとのことです。

無期転換ルール:通算5年を超えたら、本人の申込みで無期契約に変わる。自動では変わらない

まず、ルールそのものです。労働契約法 第18条にあります。

同じ会社との2つ以上の有期労働契約の期間を通算して5年を超える人が、いまの契約が終わる日までに、期間の定めのない契約(いつまでと決まっていない契約。以下「無期契約」)を申し込むと、会社はその申込みを承諾したものとみなされます。

厚生労働省のQ&Aは、ここをもう少しかみ砕いています。

  • 通算5年を超えても、自動的に無期契約に変わるわけではない。本人が会社に「申込み」をしたときに無期契約が成立する
  • 無期契約が始まるのは、申込みをしたときの有期契約が終わる日の翌日から
  • 通算するのは、平成25(2013)年4月1日以降に始まった有期契約から

つまり、何もしなければ何も変わりません。申し込むかどうかは、本人が決めることになります。

私の場合、再雇用の前は期間の定めのない契約で働いています。条文は2つ以上の有期労働契約の期間を通算する、と書いているので、数え始めるのは再雇用の有期契約から、と読めます。ただ、再雇用の始まりの日も契約期間もまだ聞いていないので、いつ5年を超えるかは、まだ数えられません。

定年後の再雇用も、原則は同じ扱い

いちばん知りたかったのはここでした。Q&Aの17番目の問いは、こうです。

60歳定年後に有期労働契約で継続雇用している労働者を、65歳(通算5年)を超えて契約更新した場合、この労働者は無期転換の申込みができるのでしょうか。

答えは、定年後に引き続き雇用している有期契約の人にも、同じように無期転換ルールが適用される、でした。

再雇用だから別扱い、ではありません。原則は、同じです。

ただし特例がある:会社が「第二種計画認定」を受けていれば、定年後の期間は数えない

同じ答えの続きに、特例が書かれています。

会社が、適切な雇用管理に関する計画を作り、都道府県労働局長の認定を受けた場合は、その会社に定年後引き続き雇われている期間は、無期転換を申し込む権利が発生しない。

根拠は「専門的知識等を有する有期雇用労働者等に関する特別措置法」(有期特措法)です。法律では、対象になる人を次のように決めています。

  • 60歳以上の定年に達したあと、引き続いて同じ会社に雇われる有期契約の人
  • 同じ会社には、グループ会社(法律の言葉では「特殊関係事業主」)に引き続いて雇われる場合も含む

そして、認定を受けた会社との契約では、定年後に引き続いて雇われている期間は、通算の期間に入れないとされています。

この認定は「第二種計画認定」と呼ばれます。会社が認定を受けていれば、定年後の再雇用を何年続けても、5年のカウントが進みません。

自分がどちらかは、書面で分かる

では、自分の会社が特例を使っているかどうかは、どう分かるのか。ここもQ&Aに書かれていました。

会社が 書面で示すこと いつ
特例を使う 無期転換を申し込む権利が発生しない期間であること 契約を結ぶとき・更新するとき
特例を使わない 無期転換を申し込めることと、無期転換後の労働条件 申し込む権利が発生する契約の更新のとき(令和6〔2024〕年4月から)

特例を使う会社は、契約を結ぶときと更新するときに、書面で示す必要があります。特例を使わない会社でも、権利が生まれる更新のときには、申し込めることを書面で示す必要があります。

どちらにしても、答えは契約のときの書面に出てくる、ということです。

私の会社が認定を受けているかどうかは、まだ分かりません。会社の資料に特例の言葉があるかも、まだ確かめていません。2027年2月ごろに結ぶ再雇用の最初の契約の書面で、この欄を確かめるつもりです。

特例が無い会社で、65歳を超えて無期になったら:会社の定年はどうなる

特例が無い会社で、通算5年を超えて無期契約に変わった場合、気になるのが定年です。

Q&Aには、すでに会社で決めている定年の年齢を超えたあとに無期転換した場合も、同じようにルールが適用されるとあります。例として、60歳定年の会社で62歳に通算5年を超えた人が挙がっています。そして、その会社の定年が、無期転換した人に当然に当てはまるわけではないと書かれています。

では、無期になった人に、あらためて定年を決められるのか。Q&Aの18番目の答えでは、定年を決めること自体は可能です。ただし、たとえば65歳で無期転換した人の定年を66歳にするような、ルールの趣旨をなくす目的の決め方は、法の趣旨に照らして望ましいものとは言えないとされています。

ここから先は、会社の就業規則しだいです。私はまだ、自分の会社の就業規則のこの部分を見ていません。だから、ここで止めます。

なお、無期契約に変わっても「正社員になる」とは限りません。Q&Aでは、無期転換後の雇用区分は会社によって制度が異なるとされ、給与や待遇は、別の決まりがある部分を除き、直前の有期契約と同じです。

権利があっても、何歳まで働くかは決まらない

ここまでで、分かったことは2つです。

  • 特例の無い会社なら、5年を超えたら無期契約を申し込める
  • 特例の有る会社なら、定年後の期間は数えない。どちらかは書面で分かる

でも、これで決まるのは「会社に残れる年数が、契約の上でどうなるか」だけです。65歳から先、会社に残るのか、別の働き方をするのかは、自分で決めるしかありません。残れる年数は会社の書面で決まり、何をするかは自分で決める。私は、後ろのほうをまだ何も決めていません。

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まとめ

  • 同じ会社との有期契約が通算5年を超えたら、本人の申込みで無期契約に変わる。自動では変わらない(労働契約法 第18条)
  • 定年後の再雇用にも、原則として同じルールが適用される(厚生労働省Q&A・Q17)
  • ただし会社が都道府県労働局長の認定(第二種計画認定)を受けていれば、定年後に引き続き雇われている期間は通算しない(有期特措法)
  • 特例を使う会社は、契約・更新のときに「申し込む権利が発生しない期間」であることを書面で示す。特例を使わない会社は、権利が生まれる更新のときに「申し込めること」を書面で示す
  • 特例の無い会社で無期になった場合、会社の定年は当然には当てはまらない。その先は就業規則しだい
  • 私の会社がどちらかは、まだ分からない。再雇用の最初の契約の書面で確かめる

この記事で使った資料

決まりと数字は、すべてこの3つの資料から引きました。個人の解説記事・動画は、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。