役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

退職金の平均1,896万円は、誰の数字? 定年の動画に出てくる「2,000万円」と、国の統計の条件を確かめました

退職金の平均1,896万円は誰の数字? 30人以上の会社で、勤続20年以上の定年退職者だけの平均

私は2027年2月に60歳で定年を迎えます。それもあって、定年や年金、50代からのお金の動画を、ほぼ毎日見ています。

見ていて、ずっと気になっていることがあります。動画に出てくる人の退職金が、いつも2,000万円前後なんです。

退職金については、前に「私の会社には規程がない」と書きました。その後、それが私の思い込みだったかもしれないと分かりました。これから会社に確認します。

では、2,000万円は、どれくらいの人に当てはまる数字なのか。この記事は、それを国の統計で確かめた記録です。

定年の動画20本で、例の人の退職金を数えてみた

まず、本当に「2,000万円前後ばかり」なのかを数えました。

2026年10月20日に、YouTubeで「定年 退職金 いくら」「55歳 定年 お金」「60歳 定年 年金 退職金」など6つの言葉で検索し、出てきた動画から20本を選んで、話の中身を文字で読みました。

数えたもの 本数
例に出てくる人の退職金の額が分かった動画 15本
そのうち、退職金が1,500万円以上だった動画(早期退職の割増を含む) 15本(全部)
退職金と貯金の合計だけが分かった動画(合計2,000万円) 1本
額が分からなかった動画 2本
例の人が出てこない、制度の解説の動画 2本

額は2,000万円、2,500万円、3,000万円が中心でした。例に出てくる人は「大手メーカーの部長」「一流企業」「課長」といった設定がほとんどです。

ただし、これは私が選んだ20本を数えただけです。YouTube全体の割合ではありません。退職金の格差や、「退職金がゼロだった」という話を取り上げている動画もありました。

国の統計では、平均1,896万円。ただし「条件つきの平均」だった

退職金の平均としてよく使われるのが、厚生労働省の「就労条件総合調査」です。最新は令和5年の調査で、2022年の1年間に退職した人の退職給付(一時金と年金の合計)をまとめています。

定年で退職した人の、1人あたりの平均はこうです。

学歴・職種 定年退職者1人あたりの平均
大学・大学院卒(管理・事務・技術職) 1,896万円
高校卒(管理・事務・技術職) 1,682万円
高校卒(現業職) 1,183万円

大卒の1,896万円が、動画の「2,000万円」に近い数字です。

ただ、この平均には条件があります。調査の説明と表の注を読むと、次の4つが全部そろった人だけの平均でした。

  1. 常用労働者30人以上の民間企業で働いていた
  2. 期間を定めずに雇われていた(パートタイムの人は入らない)
  3. 勤続20年以上かつ45歳以上で退職した
  4. 退職給付の制度がある会社だった

つまり、30人より少ない会社の人、契約社員やパートの人、途中で会社を移って勤続が20年に届かない人は、最初からこの平均に入っていません。

そもそも退職金の制度がない会社が、4社に1社ある

同じ調査で、退職給付(一時金・年金)の制度がある会社の割合も出ています。

会社の規模 制度がある会社の割合
全体 74.9%
1,000人以上 90.1%
300〜999人 88.8%
100〜299人 84.7%
30〜99人 70.1%

全体で4社に1社は、制度そのものがありません。会社が小さいほど、ない割合が高くなります。そして、この表にも30人未満の会社は入っていません。

私の会社も「ない」側だと思っていました。

勤続年数が短いと、同じ定年でも額は大きく下がる

もう1つ見ておきたいのが、勤続年数です。同じ調査に、定年退職者の勤続年数別の平均があります。

勤続年数 大卒(管理・事務・技術) 高卒(管理・事務・技術) 高卒(現業)
20〜24年 1,021万円 557万円 406万円
35年以上 2,037万円 1,909万円 1,471万円

同じ大卒でも、勤続20〜24年なら1,021万円。高卒の現業職なら406万円です。

動画に出てくる「2,000万円」は、この表でいえば、1つの会社に35年以上勤めた人の数字に近い、という話になります。

動画の額を、自分の額だと思わないために

動画が悪いと言いたいのではありません。話を分かりやすくするために、平均に近い額を出しているんだと思います。

でも、その額を自分の老後の計算に入れてしまうと、計算が最初から狂います。私のように自分の会社の規程をきちんと確認していない人、会社を移ってきた人、小さな会社にいる人は、とくにそうです。

自分の額を知る方法は、1つしかありません。会社に聞くことです。

  • 退職金の規程はあるか
  • あるなら、自分が定年で辞めたときにいくらになるか
  • 一時金か、年金か、その両方か

退職金がある人は、受け取る前に出す書類もあります。締切の順番は定年の手続き、締切はいつまで? 退職日から逆算した一覧表にまとめました。

退職金がない・少ない人は、何で見通しを立てるか

私の場合、もし退職金がなければ、60歳からの見通しは再雇用の給料と、65歳からの年金で立てることになります。

再雇用で働く5年間に払う厚生年金が、65歳からの年金をどう増やすのかは、60歳から再雇用で払う厚生年金は、65歳からの年金を増やすのかで調べました。

ただ、再雇用の給料の額は、まだ会社から聞いていません。給料と年金と貯金を並べて、何歳まで足りるかを見る作業は、自分ひとりではまだできていません。

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まだ分かっていないこと

  • 真ん中の人がいくらもらっているか。この調査が出しているのは平均です。高い額の人に引っぱられるので、真ん中の人の額は平均より低いかもしれません。ただ、それを示す国の数字は、まだ見つけていません
  • 30人未満の会社の退職金。この調査には入っていません
  • 55〜60歳で働く人のうち、何割がこの平均の対象になるのか。ほかの統計と組み合わせれば見当はつきそうですが、国がそのまま出している数字は見つけていません。だから、ここでは割合を書きません

まとめ

  • 定年の動画20本を数えたら、例の人の退職金が分かった15本は、全部1,500万円以上だった(私が選んだ20本の範囲)
  • 国の統計の平均1,896万円(大卒・管理事務技術)は、30人以上の会社・期間の定めなく雇われた人・勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者だけの平均(厚生労働省 就労条件総合調査 令和5年)
  • 退職給付の制度がある会社は74.9%。4社に1社は制度がない
  • 勤続20〜24年なら、大卒でも1,021万円、高卒の現業職は406万円
  • 自分の額は、会社に聞くしかない。退職金がない人は、再雇用の給料と年金で見通しを立てる

この記事で使った資料

数字は、すべてこの調査から引きました。動画は、どんな額が例に出ているかを数えるためだけに見たもので、動画の中の数字は根拠にしていません。