役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

高年齢雇用継続給付の「60歳時点の賃金」は、定年前6か月の給料で決まる。賞与は入らず、上限は522,000円。わたしの6か月はもう始まっていました

高年齢雇用継続給付の基準は60歳前6か月。賞与は入らず、上限522,000円・下限96,090円

私は2027年2月に60歳で定年を迎えます。定年のあとは、同じ会社に再雇用で残ることが決まっています。再雇用後の給料は、まだ決まっていません。

再雇用で給料が下がったときに出る国の給付に、高年齢雇用継続給付があります。調べていくうちに、気づいたことがあります。この給付は「60歳時点の賃金」と比べて決まる。そして、その基準になる期間は、もう始まっている。

この記事は、その「比べる基準」がどう作られるかを、国の資料で確かめた結果です。

給付は「60歳時点の賃金」と比べて決まる。その基準を、わたしはまだ見たことがない

高年齢雇用継続給付は、60歳以降の各月の賃金が、60歳到達時の賃金月額の75%未満に下がった人に出ます。下がり方が大きく、64%以下なら、その月の賃金の10%です。

何%出るか、誰が申請するかは、前に「高年齢雇用継続給付は15%」はもう古い。2025年4月以降に60歳になる人は10%ですにまとめました。この記事は、その「75%」「64%」を何と比べるのか、の話です。

比べる相手は「賃金月額」と呼ばれます。私は、自分の賃金月額がいくらになるのか、まだ見たことがありません。

基準=「賃金月額」は、60歳に達する前の6か月の平均

ハローワークのリーフレットには、こう書かれています。

「賃金月額」=原則として60歳に到達する前6か月間の平均賃金

法律(雇用保険法 第61条)の言い方はもう少し回りくどく、60歳に達した日を「離職の日」とみなして、第17条で賃金日額を計算し、それを30倍した額が基準です。

第17条は、失業保険(基本手当)の「賃金日額」を決める条文です。中身は、最後の6か月間に支払われた賃金の総額を180で割った額。つまり、高年齢雇用継続給付の基準は、失業保険の賃金日額と同じ物差しで作られています。

入るもの・入らないもの:手当は入る。賞与は入らない

では、その6か月の「賃金」に何が入るのか。

雇用保険法の「賃金」は、第4条で「賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず」、労働の対償として事業主が労働者に支払うものとされています。名前が「手当」でも、賃金に入ります。

ただし、第17条で6か月の総額を出すときは、臨時に支払われる賃金と、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金を除くと書かれています。年2回の賞与は、ここで外れます。

ハローワークの失業保険のページは、同じことをもっとはっきり書いています。

離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出

まとめると、こうです。

6か月の「賃金」に 資料の書き方
入る 賃金・給料・手当など、名称を問わず労働の対償として支払われるもの(毎月きまって支払われるもの)
入らない 臨時に支払われる賃金、3か月を超える期間ごとに支払われる賃金(賞与等)

どの手当が「毎月きまって支払われた賃金」に当たるかを、手当の名前で一つずつ挙げた資料は、今回開いたものの中にはありませんでした。ここは自分の会社の明細で確かめるしかありません。

上限と下限:賃金月額は522,000円で頭打ち、96,090円が底

賃金月額には、上限と下限があります。リーフレットの早見表の注では、

  • 算定した額が522,000円を超える場合は522,000円
  • 算定した額が96,090円を下回る場合は96,090円

とされています。この金額は令和9年(2027年)7月31日までの額で、「毎月勤労統計」の平均定期給与額により、毎年8月1日に改定されます。ずっとこの額ではありません。

あわせて、もらう側にも線が2本あります。

  • 支給限度額 397,369円:その月の賃金がこの額以上なら、給付は出ません。賃金と給付の合計がこの額を超えるときは、397,369円から賃金を引いた額になります
  • 2,562円:計算した給付の額がこの額以下なら、出ません

リーフレットには、賃金月額が30万円の人の計算例が載っています。

その月の賃金 結果
26万円 75%未満に下がっていないので、出ない
20万円 低下率66.67%で、14,545円
18万円 低下率60%で、18万円×10%=18,000円

基準の賃金月額が違えば、同じ賃金でも低下率が変わり、給付も変わります。だから、基準の6か月が大事です。

わたしの6か月は、もう始まっていた

ここからは、私の事情です。

私は2027年2月に60歳になります。60歳に達する前の6か月を数えると、もう今年の夏の終わりごろから始まっていると見ています。ただ、何月からになるかは給与の締め日しだいで、1か月前後ずれます。私はまだ締め日から数え直していないので、ここは推測です。

そして、この6か月の途中で、月給の改定もありました。私の月給には、定額の残業代も入っています。この定額の残業代が「毎月きまって支払われた賃金」として扱われるのかは、人事にまだ聞いていません。

ここで困るのは、基準が作られる様子を、本人は途中で見られないことです。リーフレットの手続きの説明では、流れはこうなっています。

  1. 会社(事業主)が、ハローワークに「六十歳到達時等賃金証明書」と受給資格確認票を出す
  2. ハローワークで受給資格が確認され、60歳到達時等の賃金月額が登録される
  3. 本人には「受給資格確認通知書」が渡され、そこに賃金月額が載っている

証明書と一緒に、賃金台帳など、記載内容を確認できる書類を出すことになっています。つまり、数字は会社の帳簿から作られます。

私の側で照らし合わせられるのは、手元の給与明細だけです。だから、今から6か月ぶんの給与明細を捨てずに残しておくことにしました。通知書が届いたときに、自分で6か月の合計と見比べられるようにするためです。

通知書が届いたら:賃金月額はどこに載るか

賃金月額は、「受給資格確認通知書」や「支給決定通知書」に記載されています(リーフレット)。届いたら、まずこの欄を見ることになります。

手続きで気をつけることも、資料に書かれていました。

  • 賃金証明書や受給資格確認票の提出がなかったり、遅れたりすると、支給を受けられなくなることがある(リーフレット1ページ目)。手続きは原則として会社を経由します(本人が自分で申請することもできます)
  • 初回の支給申請は、最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4か月以内(ハローワーク「雇用継続給付」)
  • 初回の支給申請の前に、賃金証明書などを先に出して、賃金月額をあらかじめ登録しておくこともできる(リーフレット)

一方で、通知書の賃金月額が自分の計算と違うと思ったときに、どこへどう申し出るかの手順は、今回開いた資料には書かれていませんでした。私なら、まず会社の担当とハローワークに聞くところから始めます。それ以上の手順は、資料に無いので書きません。

基準が分かっても、受給額はまだ出せない

ここまでで、「何と比べるか」は分かりました。それでも、私はまだ自分の給付の額を出せません。

比べられる側、つまり再雇用後の賃金が決まっていないからです。給付の額が出なければ、手取りも出ません。年金まで含めた60歳からの見通しも、立てられないままです。ここは、自分ひとりでは埋められない穴だと思っています。

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まとめ

  • 高年齢雇用継続給付は、各月の賃金を60歳到達時の賃金月額と比べて決まる(75%未満で対象・64%以下で10%)
  • 賃金月額は、原則として60歳に到達する前6か月間の平均賃金。失業保険の賃金日額と同じ物差し(6か月の総額÷180、その30倍)
  • 手当は名称を問わず賃金に入る。臨時の賃金と、3か月を超える期間ごとの賃金(賞与等)は入らない
  • 賃金月額は522,000円が上限、96,090円が下限。令和9年7月31日までの額で、毎年8月1日に改定
  • 基準は会社の出す賃金証明書から作られ、本人は受給資格確認通知書で初めて見る。だから6か月ぶんの給与明細を残しておく
  • 再雇用後の賃金が決まらないと、給付の額はまだ出せない

この記事で使った資料

決まりと数字は、すべてこの4つの資料から引きました。個人の解説記事・動画は、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。