役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

定年後の再雇用で、有給休暇はリセットされません。勤続年数は通算です(ただし週4日・30時間未満にすると減ります)

再雇用で有給はリセット?通算。勤続年数は引き継がれます。ただし週4日かつ週30時間未満なら付与日数は減る

私は2027年2月に60歳になります。定年のあとは、同じ会社に再雇用で残ることが決まっています。

その準備をしながら、私はずっと「再雇用になったら、有給休暇はいったんゼロに戻る」と思い込んでいました。定年でいったん退職するのだから、休みの日数も新入社員と同じところから数え直しになる。そう考えていたのです。

通勤は往復4時間半あります。年に何日休めるかは、そのまま暮らしの重さに効きます。だから念のため、労働局と厚生労働省の資料を開いて確かめました。

資料に書いてあったのは、私の思い込みと逆のことでした。

なお、再雇用の前に会社へ聞いておくことは、定年前に会社へ聞くこと7つにまとめています。あの7つには、有給休暇が入っていませんでした。この記事は、その8つ目です。

再雇用になったら有給はゼロから、と思っていました

「定年=退職」なので、有給休暇もそこで区切られる。再雇用は新しい契約なので、また「6か月たってから10日」から始まる。

私はこう考えていましたし、同じように思っている人は少なくないはずだと感じていました(ただし、これは私の感覚で、数えたわけではありません)。

確かめてみると、国の資料はこの考え方をはっきり否定していました。

労働局の答え:勤続年数は通算。再雇用から6か月後に付与、はできません

鹿児島労働局の「よくあるご質問」に、そのままの問いがあります。定年退職した人を、引き続き嘱託として雇う場合、年次有給休暇はどうなるのか。

答えはこうです。

引き続き雇用する場合は、年次有給休暇の勤続年数は通算します。したがって、改めて再雇用から6か月後に付与するといったことはできません。 (鹿児島労働局 年次有給休暇 Q10)

理由も書いてあります。定年退職者を嘱託として再雇用するのは、「単なる企業内における身分の切替え」であって、実質的には労働関係が継続していると認められるから、というものです(同上)。

厚生労働省の「スタートアップ労働条件」のQ&Aにも、60歳で定年、そのあと1年ごとの契約を更新して65歳まで再雇用するという、私とほぼ同じ形の例が載っています。そこでも、付与日数は再雇用前から通算した継続勤務年数で決まる、とされています。根拠として示されているのは、昭和63年3月14日基発第150号という通達です(厚生労働省 スタートアップ労働条件 Q8)。

「定年だから有給はリセット」ではなく、「再雇用でも勤続年数は続いている」。これが国の資料の書き方でした。

通算すると何日になるか(週5日・または週30時間以上の場合)

では、通算すると何日になるのか。愛知労働局の「年次有給休暇のポイント」に表があります。

週の所定労働時間が30時間以上、または週の所定労働日数が5日以上の人は、次のとおりです。

雇入れ後の継続勤務年数 付与日数
6か月 10日
1年6か月 11日
2年6か月 12日
3年6か月 14日
4年6か月 16日
5年6か月 18日
6年6か月以上 20日

(愛知労働局「年次有給休暇のポイント」)

付与の条件は、雇入れから6か月継続して勤め、全労働日の8割以上出勤していること。その後は、継続勤務1年ごとに、前の1年間の全労働日の8割以上出勤していることです(同上)。

勤続が長い人は、通算すれば再雇用のあとも上限の20日のままです。私は2000年から今の会社にいるので、8割以上出勤していれば、この表では一番下の行に当たります。

ただし、週4日・30時間未満にすると付与日数は減ります(比例付与)

ここからは、自分に不利な側をそのまま書きます。

再雇用のときに働き方を変えて、週の所定労働時間が30時間未満、かつ週の所定労働日数が4日以下になると、付与日数は「比例付与」という少ない表に切り替わります。

継続勤務年数 週4日 週3日
6か月 7日 5日
1年6か月 8日 6日
2年6か月 9日 6日
3年6か月 10日 8日
4年6か月 12日 9日
5年6か月 13日 10日
6年6か月以上 15日 11日

(愛知労働局「年次有給休暇のポイント」。週30時間未満の人の表)

勤続が長くても、週4日なら15日、週3日なら11日です。週5日の20日と比べると、5日〜9日少なくなります。

判定のタイミングにも注意がいります。厚生労働省のQ&Aでは、再雇用後の有給休暇の「付与基準日」の時点で週の所定労働日数が4日以下になっていれば比例付与になる、としています(スタートアップ労働条件 Q8)。

もう1つ、読み違えやすいところがあります。

愛知労働局の表では、比例付与になるのは「週30時間未満」の人です。反対に、週30時間以上なら、週4日でも上の20日の表に入ります。たとえば1日8時間×週4日=週32時間なら、この表の書き方では比例付与になりません。

「週4日にしたら減る」とは限らず、「週4日以下で、しかも週30時間未満」になると減る。日数と時間の両方で決まります。

そしてここで、「出社を減らしたい」と「有給を多く残したい」がぶつかることがあります。1日の時間を短くして週4日にすれば、通勤は減ります。でも有給も減ります。

もう1つ混ぜてはいけないのが、「出社日数」と「所定労働日数」は別物だということです。自宅で働く日も、所定労働日です。出社を減らしても、所定労働日数が週5日のままなら、有給の表は変わりません。

使い残した有給は、2年で消えます

有給休暇には期限があります。

  • 未使用の有給は、翌年度に限り繰り越しになります(愛知労働局「年次有給休暇のポイント」・労働基準法第115条)
  • 古いものは、2年で時効により消滅します(大阪労働局「年次有給休暇」Q7)
  • 年休権は発生した日から2年間は行使できるとされています(厚生労働省「確かめよう労働条件」)

ここで、私が一番知りたかったことが1つあります。定年の時点で残っている有給は、再雇用のあとも使えるのか。

正直に書くと、私が開いた国の資料には、これをそのまま書いた一文はありませんでした。

勤続年数が通算されること、有給は発生から2年間は使えること。この2つから考えると「残るはず」と読めます。でもこれは私の推測で、資料が言い切っているわけではありません。だから、この記事では断定しません。会社に確かめる項目に入れます。

年10日以上もらう人は、年5日は取らせてもらえます

もう1つ、再雇用のあとも関わる決まりがあります。

2019年4月から、年10日以上の有給休暇が付与される労働者には、そのうち年5日を、使用者が時季を指定して取得させることが必要になりました(厚生労働省リーフレット「年次有給休暇の時季指定義務」)。

比例付与で日数が減っても、付与が10日以上なら、この対象のままです。週4日の15日なら対象に入ります。週3日の11日も、10日以上なので対象です。

定年前にやること:条件を聞くとき、有給の3つを一緒に聞く

再雇用の条件の話が出たら、給料と一緒に、有給休暇について次の3つを聞いておくことにしました。

  1. 再雇用後の付与日数と、付与基準日(いつ、何日もらえるのか)
  2. 定年時点で残っている有給の扱い(そのまま使えるのか)
  3. 再雇用後の週の所定労働日数と、週の所定労働時間(比例付与の表に入るのか)

聞き方も決めました。「リセットされますか」ではなく、「通算で何日になりますか」と聞きます。前提を資料のほうに置いて聞いたほうが、話が早いと思うからです。

なお、有給を取ったことを理由に、賃金を減らすなどの不利益な取扱いをしてはいけないことも、法律で定められています(愛知労働局「年次有給休暇のポイント」・労働基準法附則第136条)。

ここに書いたのは、労働局の資料がそう書いている、というところまでです。自分の会社の扱いが違っていたら、まず会社に、資料を見せて確かめるところから始めるつもりです。

ここが、私がまだ埋められていない穴です

制度は並べ終わりました。でも、私の決め方には、まだ空欄があります。

週4日(かつ週30時間未満)にすれば、通勤は減ります。でも有給は20日から15日に減り、おそらく給料も減ります。週5日のままなら、有給は20日のままですが、往復4時間半の通勤が週5回続きます。

どちらが暮らしとして回るのか。ここまで開いた資料には、それが1行も書いてありません。しかも私は、再雇用後の賃金額をまだ知らされていません。休みの日数とお金の両方を並べないと、比べようがない状態です。

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まだ分かっていないこと

  • 私の再雇用後の、週の所定労働日数と時間。出社日数を減らす相談はしていますが、それと所定労働日数は別の話です
  • 会社の付与基準日。入社日で数えるのか、全員一斉に付与するのか
  • 定年時点で残った有給が、再雇用後にそのまま使えるか。国の資料に明記がないので、会社に確かめます
  • 再雇用後の賃金額。まだ教えてもらっていません

分かったら、空欄を埋めて書きます。

あわせて読む

まとめ

  • 定年後に引き続き再雇用される場合、有給休暇の勤続年数は通算される。再雇用から6か月後に改めて付与、はできない(労働局の資料)
  • 週30時間以上または週5日以上なら、勤続6年6か月以上で年20日
  • 週4日以下かつ週30時間未満になると比例付与で、週4日なら15日、週3日なら11日に減る。週4日でも週30時間以上なら20日の表
  • 「出社日数」と「所定労働日数」は別。自宅で働く日も所定労働日
  • 使い残しは翌年度まで繰り越し、2年で時効消滅
  • 定年時点の残日数が再雇用後に残るかは、国の資料に明記がない。会社に確かめる
  • 聞くときは「リセットされますか」ではなく、「通算で何日になりますか」

この記事で使った資料

数字と決まりは、すべてこの6つから引きました。個人の解説記事や動画は、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。