役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

定年後の再雇用で「副業禁止」と言われたら。国の資料で確かめた、会社が禁止・制限できる4つの場合

再雇用で「副業禁止」と言われたら。4つ、会社が禁止できる場合。厚労省のモデル就業規則で確かめました

私は2027年2月に60歳になります。定年のあとは同じ会社に再雇用で残る予定です。

定年の前から、会社の外で小さく稼ぐ準備を少しずつ進めてきました。ブログや note です。再雇用の5年間も、これは続けたいと思っています。

ところが、再雇用は労働契約を結び直すことになります。そのときの条件で、副業がどう扱われるのか。私はまだ確かめていませんでした。

再雇用の条件を示される場で、給料が6割になること、フルタイムであることと一緒に「副業は禁止」と言われた、という声も見かけました。

以前、定年前に会社へ聞くこと7つを整理しました。この記事は、その8つ目「副業の決まり」です。

再雇用の条件に「副業禁止」。従うしかないのか

先に、この記事で分かったことを書いておきます。

  • 国の資料では、勤務時間の外をどう使うかは、基本的には働く人の自由とされている
  • 会社が副業を禁止・制限できるのは、裁判例で認められてきた例えば4つの場合と整理されている
  • ただし、自分の会社の就業規則と労働契約にどう書いてあるかを見ないと、自分の答えは出ない
  • 「再雇用の人だけ別の扱い」という決まりは、今回読んだ国の資料には見当たらなかった

ここから、厚生労働省の「副業・兼業の促進に関するガイドライン」と「モデル就業規則」で、ひとつずつ確かめます。

国の資料の出発点:「勤務時間外の使い方は、基本的には労働者の自由」

ガイドライン(3ページ)は、裁判例をもとに、労働時間以外の時間をどう使うかは、基本的には労働者の自由だと整理しています。

会社が就業規則をつくるときのひな形として、厚生労働省が出している「モデル就業規則」(令和7年12月版)の第70条1項は、こうなっています。

労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。 (厚生労働省「モデル就業規則」第70条1項)

国のひな形の出発点は、「できない」ではなく「できる」です。

会社が禁止・制限できるのは、この4つの場合

では、会社はどんなときに副業を止められるのか。ガイドライン(3ページ・8ページ)には、裁判例で禁止・制限が認められてきた場合として、次の4つが挙げられています。

  1. 労務提供上の支障がある場合(本業の仕事に差し支える)
  2. 業務上の秘密が漏れる場合
  3. 競業によって、自社の利益が害される場合(同じ商売で会社とぶつかる)
  4. 自社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を壊す行為がある場合

モデル就業規則の第70条2項も、同じ4つを並べています。

ここで気をつけたいのは、ガイドラインがこの4つの前に「例えば」と書いていることです。「この4つ以外は、会社は一切止められない」とまでは書かれていません。

そのうえで、ガイドライン(6ページ)はこう求めています。

  • 裁判例をふまえると、原則、副業・兼業を認める方向とすることが適当
  • 副業を禁止、または一律に許可制にしている会社は、本業に支障が出るかどうかを今一度精査し、そういう事情がなければ、原則認める方向で検討することが求められる

ただし「国が認めている」は「自分の会社で自由」ではない

ここで話を終えると、読み違えます。

ガイドライン(18ページ)の「労働者の対応」には、副業を希望する場合でも、まず自分が勤めている会社の副業・兼業のルール(労働契約、就業規則等)を確認する、と書かれています。

モデル就業規則の第70条2項も、働く人からの「届出」にもとづいて、会社が4つの場合に当たるかを判断する形になっています。つまり、国のひな形どおりの会社でも、黙ってやってよいという作りにはなっていません。

ガイドライン(8ページ)には、許可の手続きに形式的に反していても、職場の秩序に影響せず、仕事に支障も出ない程度のものは禁止違反に当たらないとした裁判例がある、とも書かれています。

ただ、これは懲戒されたあとに争ったときの話です。「だから届けなくてよい」という意味ではありません。私は、会社の決まりに届出が書いてあれば、届け出る前提で考えます。

相談しただけで、不利に扱われることはないと書いてある

条件を示される場で「副業の決まりはどうなっていますか」と聞くと、印象が悪くならないか。私はそこが気になっていました。

ガイドライン(6ページ)と、モデル就業規則の第70条の解説には、どちらも同じ趣旨が書かれています。

  • 副業・兼業に係る相談、自己申告等を行ったことにより、不利益な取扱いをすることはできない

国の資料の上では、聞くこと自体は問題にならないということです。

雇われる副業と、自分でやる副業は、時間の数え方が違う

副業には、大きく2つの形があります。別の会社に雇われて働く副業と、自分で仕事を請けたり、書いたりする副業です。

ガイドライン(9ページ)によると、本業と副業の労働時間が足し合わされる(通算される)のは、雇われて働く場合です。次のような場合は通算されないとされています。

  • フリーランス、独立、起業、共同経営、アドバイザー、コンサルタント、顧問、理事、監事 など

私のブログや note は、後者です。「フルタイム+別の会社でアルバイト」と「フルタイム+自分で書く」では、会社が気にする点が変わることになります。

ただし、自分でやる副業なら会社に関係ない、とはなりません。モデル就業規則の第70条の解説には、「副業・兼業」には、雇われる形のほかに、事業主として行うものや、請負・委託・準委任の契約で行うものも含むと書かれています。自分でやる副業も、届出の対象になりうるということです。

副業の所得が20万円を超えたら、自分で確定申告

お金の手続きも一つだけ確かめておきます。

国税庁のタックスアンサー No.1900 によると、給与を1か所から受けていて、その給与の全部が源泉徴収の対象になっている人は、給与所得と退職所得以外の所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。

ここで言っているのは「所得」です。売上そのもの(収入)ではなく、そこから経費を引いた額です。

定年前にやること:条件提示の前に、3つを見ておく

ここまでで、国の資料の整理は分かりました。自分の答えを出すには、次の3つが要ります。

  1. 今の就業規則の「副業・兼業」の条文を読む。禁止なのか、許可制なのか、届出制なのか
  2. 再雇用の労働契約書(労働条件通知書)に、別の定めが入っていないかを見る
  3. 自分の副業が、4つの場合のどれかに当たりそうかを考える。私の場合は、物流の仕事で得た知識を外で書くことが、会社の秘密や競業に触れないかが気になるところです

3つがそろって初めて、「私は再雇用のあとも副業を続けられるか」の答えが出ます。

ここが、私がまだ埋められていない穴です

決まりの整理は、国の資料でかなりはっきりしました。

それでも、私の手元には空欄が残っています。自分の会社の就業規則の副業の条文を、私はまだ読み直していません。再雇用の契約書も、まだ受け取っていません。

そして、もう一つ。決まりの上で副業を続けられるとしても、再雇用の5年間で、会社の外に何を育てるのかは、別の問いです。国の資料は、そこには何も答えてくれません。

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まだ分かっていないこと

  • 私の会社の就業規則で、副業がどう書かれているか。まだ読み直していません
  • 再雇用の労働条件通知書に、副業の定めが入るか。まだ受け取っていません
  • 会社が私の副業を、秘密や競業に当たると見るかどうか。まだ聞いていません

分かったら、空欄を埋めて書きます。

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まとめ

  • 国の資料では、勤務時間外をどう使うかは、基本的には労働者の自由とされている(ガイドライン3ページ)
  • 会社が禁止・制限できるのは、裁判例で認められてきた例えば4つの場合:①仕事への支障 ②秘密の漏れ ③競業 ④名誉・信用や信頼関係を損なう
  • 禁止や一律許可制の会社には、原則認める方向で検討することが求められている(ガイドライン6ページ)
  • 相談・自己申告をしたことで、不利益な取扱いはできない
  • それでも、まず自分の会社のルール(労働契約・就業規則)を確認するのが国の資料の順番。届出の定めがあれば、届け出る
  • 労働時間が通算されるのは雇われる副業。自分でやる副業は通算されないが、届出の対象にはなりうる
  • 副業の所得が20万円を超えたら確定申告(国税庁 No.1900)
  • 「再雇用の人だけ別の扱い」という決まりは、今回読んだ国の資料には見当たらなかった

この記事で使った資料

決まりと数字は、すべてこの資料から引きました。個人の解説記事や動画は、論点を探すためだけに使い、根拠にはしていません。