役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

「高年齢雇用継続給付は15%」はもう古い。2025年4月以降に60歳になる人は10%です

高年齢雇用継続給付は15%から10%へ。2025年4月以降に60歳になる人は、もう15%ではない

定年後も同じ会社で働き続けるとき、多くの場合、賃金は下がります。

実際に賃金が下がると何が起きるかは、役職定年で収入と仕事はどう変わるかに、私自身に起きたことを書いています。

その下がった分を一部埋めてくれる制度が 高年齢雇用継続給付 です。私は2027年2月に60歳になるので、自分に関係する制度として調べ始めました。

そこで、最初につまずきました。

検索して出てくる記事の多くに、「賃金の15%が支給されます」と書いてあります。ところが、ハローワークの原典を開くと、違うことが書いてありました。

60歳時点の賃金の64%以下に低下した場合は、各月の賃金の10%相当額 (ハローワークインターネットサービス「雇用継続給付」)

15%ではなく、10%でした。

なぜ2つの数字が出てくるのか

原典には、こう書いてあります。

令和7年3月31日以前に60歳に達した日を迎えた方については、61%以下で15%

つまり、分かれ目は「いつ60歳になったか」です。

60歳になった日 給付率
2025年3月31日以前 15%(61%以下に低下した場合)
2025年4月1日以降 10%(64%以下に低下した場合)

ネットに残っている「15%」の記事は、間違いではなく、古いのです。制度が変わる前に書かれたものが、そのまま検索に出続けています。

私は2027年2月に60歳になります。つまり10%のほうです。

最初に確かめるべきは、給付の中身ではなく、自分がどちらの側にいるかでした。ここを間違えると、受け取れる額を1.5倍に見積もったまま、老後の計算をすることになります。

誰がもらえるのか

原典に書いてある要件は、3つです。

  1. 雇用保険の被保険者であった期間が5年以上ある
  2. 60歳以上65歳未満の一般被保険者
  3. 60歳以降の賃金が、60歳時点に比べて75%未満に低下した状態で働き続ける

3つ目が肝です。「賃金が下がったこと」ではなく「75%未満に下がったこと」が条件です。

たとえば60歳時点で月30万円だった人なら、22万5千円未満にならないと対象になりません。「2割下がった」(24万円)では、1円も出ません。

いくらもらえるのか

低下率によって変わります。原典の書き方はこうです。

  • 64%以下に低下 → 各月の賃金の10%
  • 64%超75%未満に低下 → 低下率に応じて、10%より少ない額

原典に載っている例をそのまま引きます。

60歳時点30万円、低下後18万円の場合 → 1万8千円が支給

18万円は30万円の60%なので、64%以下。だから満額の10%(1万8千円)です。

上限もあります。

各月の賃金が397,369円を超える場合は支給されません

賃金が高い人には出ない仕組みです。

いつ、誰が手続きするのか

ここが、知らないと落とし穴になります。

提出者:事業主(本人申請も可) 提出先:事業所の所在地を管轄する公共職業安定所(ハローワーク)

原則は会社が出します。自分で行くものだと思って待っていると、話が噛み合いません。

そして期限があります。

初回:最初に支給を受けようとする支給対象月の初日から起算して4か月以内 2回目以降:指定された支給申請月中

4か月です。再雇用が始まってバタバタしているうちに過ぎる長さだと思います。

もうひとつの給付との違い

同じページに、似た名前の給付が2つ載っています。

いつの人 支給される期間
高年齢雇用継続基本給付金 60歳以降、そのまま働き続ける人 60歳に達した月から65歳に達する月まで
高年齢再就職給付金 基本手当(失業保険)を受給して、60歳以後に再就職した人 就職した日の属する月から1年または2年(65歳が限度)

失業保険をもらってから再就職したかどうかで、名前も期間も変わります。同じ制度の話をしているつもりで、違う数字を見ていることがあります。

私の場合(2027年2月に60歳)

再雇用は決まっています。ただし、再雇用後の賃金額は、まだ決まっていません。

だから、私はまだ自分の受給額を計算できません。低下率が分からないからです。ここは正直に書いておきます。

計算できないなりに、いまできることが3つあります。

1. 自分が10%か15%か、生年月日から確かめる

2025年4月1日が分かれ目です。私は10%側でした。ここを先に確定させないと、以降の計算が全部ずれます。

2. 60歳時点の賃金を、記録として残しておく

給付の判定は「60歳時点と比べて何%か」で決まります。比べる基準のほうを、あとから思い出そうとしないことです。給与明細を残しておけば済みます。

3. 会社に「手続きは誰が出すのか」を先に聞いておく

原則は事業主です。自分の会社がやってくれるのか、自分で出すことになるのかを、賃金の話をするときに一緒に確かめておく。4か月の期限があるので、始まってから確認するのでは遅いことがあります。

立て直しの順番

この制度に限らず、定年前後の手続きには順番があります。今回わかったのは、この3つでした。

  1. 自分がどの区分か確かめる(生年月日・60歳到達日)
  2. 比べる基準になる数字を、いま記録しておく(60歳時点の賃金)
  3. 誰が出す手続きかを確かめておく(自分か、会社か)

制度の中身を覚えるより、この3つのほうが先です。中身は必要になったときに調べ直せますが、60歳時点の賃金は、そのときにしか記録できません。

この記事で使った資料

数字はすべてこのページから引きました。個人の解説動画や記事は、論点を探すためだけに使い、数字の根拠にはしていません。「15%」と書いてある記事が今も多く残っているのは、それが理由です。

なお、健康保険をどうするか(任意継続か国民健康保険か)や、退職金の受け取り方については、私もまだ資料を集めている途中です。分かった順に、実測として書いていきます。

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まとめ

  • 高年齢雇用継続給付の給付率は、2025年4月1日以降に60歳になる人は10%。「15%」の記事は古い
  • 対象は賃金が60歳時点の75%未満に下がった人。「2割下がった」では出ない
  • 賃金が397,369円を超える月は支給されない
  • 手続きは原則、会社が出す。初回は4か月以内
  • いまできるのは、①自分の区分を確かめる ②60歳時点の賃金を記録する ③誰が出すか確かめるの3つ