役職定年の実測ノート

役職定年で何が起きるかを、実測の数字と当事者の一次情報で。

50代の転職が「厳しい」のはどこまで本当か。数字で確かめて、転職以外の2つの道も並べる

転職で賃金が減った人の割合は50〜54歳で42.0%、55〜59歳で38.9%(令和7年)。50代は前半も後半も、増えた人より減った人が多い

※本記事にはアフィリエイト広告(PR)を含みます。

「50代 転職 厳しい」で検索すると、1位はYahoo!知恵袋です。 体験談、成功者インタビュー、転職エージェントの記事——情報はたくさんありますが、「厳しい」が具体的にどのくらい厳しいのか、数字で示した記事は多くありません。

この記事では先に数字を並べます。 そのうえで、「転職する」以外の道も同じ土俵に置いて比べます。

「厳しい」の中身を数字で見る

厚生労働省「雇用動向調査」の、転職した人の賃金がどう変わったかのデータ(年齢階級別・令和7年=2025年の1年間)を見ます。

年齢 賃金が増えた 変わらない 減った
50〜54歳 29.4% 26.7% 42.0%
55〜59歳 25.5% 33.0% 38.9%

分かることは2つです。

  1. 50代は、前半も後半も、転職で賃金が「減った」人のほうが「増えた」人より多い。 「50代の転職=年収減」は、いまの数字ではそのまま当てはまります
  2. ただし、年によって大きく動きます。 1年前(令和6年)の50〜54歳は「増えた」39.0%・「減った」28.2%で、逆でした。1年分の数字だけで「何歳なら大丈夫」とは言えません

(2026年10月追記:表を最新の令和7年の数字に入れ替え、数字の読み方を直しました)

なお、求人票に年齢制限を書くことは法律で原則禁止されています(労働施策総合推進法)。 それでも実務上のミスマッチが残るのは、この賃金データが示すとおりです。

数字から言える結論はこうです:50代の転職は「不可能」ではない。ただし、賃金は下がる前提で考えておく。動くなら、下がった分をどう受け止めるかを先に決めておくことが、中身と同じくらい重要。

身近な実例をひとつ。 私の元上司は、55歳でタクシー運転手に転職しました。 同じ業界の同じような職種に移るだけが転職ではなく、50代の転職には「別の業界への転身」という形が現実にあります。 統計の数字の裏で起きているのは、こういう一人ひとりの決断です。

厳しくなる人と、そうでもない人の違い

上位の体験談・エージェント記事に共通して出てくる分岐点は、突き詰めると2つです。

  1. 「何ができる人か」を、社名と役職以外の言葉で言えるか。 「◯◯社で部長でした」は社外では値段がつきません。「◯◯という問題を、◯◯のやり方で解決してきました」には値段がつきます。
  2. 年収の希望を、市場に合わせて再設定できるか。 前職の年収は前職での値段です。ここで折り合えない人が、応募を繰り返して消耗します。

どちらも、応募の前の「棚卸し」の話です。転職活動がうまくいかない50代の多くは、求人選びではなく棚卸しでつまずいています(棚卸しのやり方は記事02)。

選択肢は転職だけではない——3つを同じ土俵で比べる

役職定年後の道を、転職だけで考える必要はありません。

道 向いている人 リスク 準備期間
A. 転職 外でも通用する専門性が明確な人 年収減。入社後のミスマッチ 3〜6ヶ月
B. 残って役割を作り直す 社内の信頼資産が厚い人 会社の制度次第。裁量は戻らない すぐ
C. 独立・開業 顧客に直接売れるものがある人/これから作る覚悟がある人 収入の不安定さ。初期投資 6ヶ月〜

Cについて一つだけ具体的に書きます。ゼロから一人で起業する以外に、フランチャイズで開業するという形があります。研修と商売の型を本部が持っているぶん、未経験からの参入障壁が下がります。ハウスクリーニングのように、50〜60代の加盟を明示的に受け入れている業態もあります。

ただし、加盟金・ロイヤリティ・収益モデルは必ず説明会で数字を確かめてから判断してください。「年商◯◯万円可能」は上振れの例であって、あなたの数字ではありません。

【PR】まずは説明会で、自分の数字を確かめるところから。定年後の独立を明示的に受け入れている加盟先を1つ挙げておきます。私はまだ使っていません。使ったら実測として書きます。

定年後も仕事がしたい!自由に働きたい!そんな方必見!
未経験から年商1000万円以上も可能!おそうじ革命で独立開業!

どの道でも、最初の一歩は同じ

A・B・Cのどれを選ぶにしても、最初にやることは同じです。自分の棚卸し(記事02)。

  • Aなら:職務経歴書の元ネタになる
  • Bなら:役割を再定義する材料になる
  • Cなら:何で開業するかの判断材料になる

棚卸しを専門家と一緒にやる方法、自分が支援側の資格を取るという選択肢は記事02に書きました。 役職定年でやる気が出ないのは、あなたの弱さではない

まとめ

  • 50代の転職は不可能ではないが、賃金は下がる前提。数字がそう言っている
  • 分岐点は求人選びではなく、応募前の棚卸し
  • 転職・残留・独立の3つを同じ土俵で比べる。独立にはFCという型もある
  • どの道でも最初の一歩は棚卸し

収入減の実額と手取りの時差は記事01へ。(役職定年で収入と仕事はどう変わるか) 「残る」を選ぶ場合の条件は、会社に聞かないと分かりません。(定年前に会社へ聞くこと7つ)


この記事で使った数字の出典

  • 厚生労働省「雇用動向調査」令和7年 結果の概要 表6「転職入職者の賃金変動状況別割合」(50〜54歳:増加29.4%・変わらない26.7%・減少42.0%/55〜59歳:増加25.5%・変わらない33.0%・減少38.9%。令和6年の50〜54歳:増加39.0%・減少28.2%) https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/kekka_gaiyo-03.pdf
  • 労働施策総合推進法(旧・雇用対策法):募集・採用における年齢制限の原則禁止